ITPEC試験は、日本の国家試験である「情報処理技術者試験」をベースとして設計されています。日本の情報処理技術者試験は、長い間多くの企業で利用されており、日本国内のIT業界で人材の評価指標としての地位を確立しています。
日本で情報処理技術者試験を利用している企業がアジアに進出する場合、ITPEC試験を活用することで、日本のIT技術者と進出先のアジアのIT技術者を、 同じ基準で評価することが可能となり、シームレスなIT人材評価を実現することが可能になります。採用人材のレベルの確保だけではなく、例えば、IT技術者採用時の資格取得者優遇や、入社後の資格取得の義務化など、技術者個人に対してスキルアップの方法を提示することもでき、日本国内のIT人材採用・育成施策をそのまま現地でも適用することが可能です。
ITPEC試験は英語(一部現地語)で実施されています。そのため、日本語能力がまだ十分ではない現地の技術者に対しても、日本語習得を待つことなく、すぐにIT知識とスキルを認定することができます。
また、海外で実施されているベンダ系IT試験のような、特定の製品やソフトウェアに関する知識ではなく、情報技術の背景として知るべき原理や基礎となる技能について、開発のマネジメントの考え方などまで含めて、幅広い知識を包括的に評価することができるため、アジアのIT技術者の総合的なIT力を測るために、最適なツールであると言えます。
さらに、ベンダ系・ユーザ系の両方のIT人材の育成を視野に入れた試験体系であり、ITだけでなく、経営戦略やプロジェクトマネジメントなど、幅広い出題範囲をカバーすることで、多くの企業におけるIT技術者の育成に活用することができます。
ITPEC試験を実施している各国の試験の中で、法務省告示(※)に定められている区分の試験の合格者及び資格の取得者に対しては、日本での就労に必要な「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に係る基準の特例が適用されます。
通常、上陸のための基準としては、(1)「当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等の教育を受けたこと」、又は(2)「当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了したこと」、又は(3)「10年以上の実務経験を有すること」が求められますが、告示に定められている試験の合格及び資格の取得は、これらと同等とみなされます。アジア各国で採用したIT技術者を日本で就労させる場合には、この制度を利用することが可能です。
<参考>情報処理技術者試験の海外との相互認証について(外部リンク:IPAウェブサイト)
https://www.ipa.go.jp/jinzai/asia/kaigai/001.html
※ 出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件
https://www.moj.go.jp/isa/laws/nyukan_hourei_h09.html